Kingdom Of Heaven : Harry Gregson-Williams

キングダム・オブ・ヘブン  :   ハリー・グレッグソン・ウィリアムス

music by Harry Gregson-Williams

additional music : Stephen Barton

recorded & mixed by Peter Cobbin at Abby Road Studios,London

music supervisor : Marc Streitenfeld

orchestrator :  Harry Gregson-Williams & Alastair King

score recordist : Geoff Foster

conductor : Harry Gregson-Williams

score Orchestra : The London Session Orchestra

orchestra leader : Gavyn Wright

choir : The Bach Choir & Choir of The King's Consort

chamber Orchestra : Fretworks(consort of viols)

 

recorded at Abby Road Studios & AIR Studios,London

mixed at Abby Road Studios,London

mastered by Simon Gibson at Abby Road Studios

 

orchestra contractor : Isobel Griffiths Ltd

score coordinator : Becky Bentham for HotHouse Music Ltd

music preparation : Dakota Music

Phillipe Rombi

 

Hans Zimmer(ハンス・ジマー)の項でも述べていますが、Remote Controlの一員としてジマーの一番弟子とも言っていいくらいの実力者であろう、Harry Gregson-Williams(ハリー・グレッグソン・ウィリアムス)。

 

言うまでもなく彼を一躍世界的に有名にしたのは「The Chronicles of Narnia : The Lion , The Witch and the Wardrobe(ナルニア国物語/第一章:ライオンと魔女)」ですね。

 

 

 

 

ここで取り上げるナルニア国物語を手掛ける前に担当した「Kingdom of Heaven」も、リドリー・スコット監督の手掛ける史劇大作という事も相まって、グレッグソンにとっての代表作と言えるでしょう。

 

当時のリドリー・スコットの常連作曲家といえばハンス・ジマー。真相は定かではないのですが、このハンス・ジマーの代打として急きょグレッグソンが音楽を任されたといわれています。当時記者会見でスコット監督は「今回はハンスとの調整が付かなかったのだ」と漏らしたのだそうです。この為、映画関係者は急場しのぎ的な印象を持ったかもしれませんが、内容は決してそうではありません。

 

 

この作品では、西洋の宗教音楽とアラビアの民族音楽を融合させ12世紀のエルサレムを表現しているのですが、レコーディングには古楽器専門の楽団「Fletwork」やトルコ系楽器の楽団「KardesTurkuler」、イギリスを拠点とする合唱団「bach choir」、アラビア系古楽器の演奏家、アラビア系の合唱団を呼びよせ、その他アラビア系打楽器を徹底的に持ち込んでいます。12世紀には現実的にあり得なかった西洋の宗教音楽とアラビアの民族音楽の融合を仮想し徹底的に試みていて、従来の西洋のオーケストラにちょっとした民族楽器を融合させてオリエンタリティーを醸し出すものとは一線を画しています。

 

* その後「Fretwork」はハンス・ジマーの手掛けた「The Da Vinci Code」など、「bach choir」はリドリー・スコット監督の「Robin Hood」などに参加。

 

又、レコーディングはイギリスのAbbey Road StudioAir Studio で行われ、ミックス及びマスタリングもAbbey Road Studio で行われていて、グレッグソンが他に手掛けたハリウッドで音楽プロダクションされた作品とは、またひと味違った雰囲気を醸し出しています。

このAbbey Road Studioに関しては別項でも述べています。

 

 

グレッグソン&リドリー:インタビュー&プリプロ、セッション(キングダム・オブ・ヘブン)

 

 

 

グレッグソン:インタビュー&プリプロ、セッション(ナルニア国物語)

 

 

 

ちなみにグレッグソンは、自身の手掛けた「Chicken Run(チキン・ラン)」や「Ants(アンツ)」のような子供向けの音楽が本当は自分には合っていて、自分でも得意だと思っている、と語っています。

 

 

彼のハリウッド進出以前の経歴の1つに、エジプトのアレキサンドリアやケニアで子供たちに音楽を教えていた、とありますが、この事が彼の音楽センスに影響を及ぼしているかどうかは言及されていません。

その後ロンドンに居を移し、作曲家スタンリー・マイヤーズのもとで助手を務めていたころ(ハンス・ジマーもハリウッド進出前はこのマイヤーズのもとで助手を務めていた)ハンス・ジマーに出会い、助力を求められてアメリカ行きを薦められます。ですが最初は拒んだらしく、その理由は「自信がない」という事だったそうです。

 

 

個人的にはRemote Controlの作曲家陣の中では、従来のオーケストレーションから民族音楽、シンセサイズにいたるまでインテリジェンスを感じさせる一番の作曲家です。そう思いつつも、当時の「自信がない」という言葉は本心なのだろうと思う理由があります。

 

グレッグソンのあるインタビュー映像を見たのですが、かなりストイックな感じで、重ねて制作真っただ中だったらしくボロボロな印象だったのを覚えています。そのインタビューの中で

 

「一つの映画に音楽を書くということは、ベートーベンの交響曲3曲分を書くことに匹敵することもある。怖じ気づいて何をしたらいいか分からなくなる事だってある。だから監督には出来るだけそばにいて、私のやろうとしている事を感じ取ってもらわなければならない。そして励ましてほしいと思っている」

 

と語っていたのが印象的でした。

ハンス・ジマーもそうですが彼らの作曲に対する姿勢は常に謙虚であり、そして、向上心を絶やすことはないのでしょう。

 

このアルバムにフィーチャーされた女性ヴォーカリスト、Lisbeth Scott(リズベス・スコット)については別の項で述べたいと思います。

 

 

 

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