10,000 BC : Harald Kloser & Thomas Wander

紀元前1万年前 : ハラルド・クローサー&トーマス・ワンダー

Music by Harald Kloser & Thomas Wander

additional composer & orchestrator / Marcus Trumpp

orchestrator & conductor / James Seymour Brett (as James Brett)

orchestrator / Adam Langston

score orchestra / The London Metropolitan Orchestra

orchestra leader / Tom Bowes : The London Metropolitan Orchestra

choir / Metro Voices

music editor / Christopher Benstead  (as Chris Benstead)

recording engineer / Rupert Coulson

scoring mixer / Geoff Foster

Mastering / Pat Sullivan at Bernie Groundman Mastering,Hollywood,CA

 

lead ethnic vocals / Joel Virgel, Desislava Stefanova

ethnic wind instruments / Chris Bleth

viola / Bruce White

 

music coordinator / Karen Elliott

music contractor / Andy Brown

Phillipe Rombi

 

Harald Kloser(ハラルド・クローサー)は近年「The Day After Tomorrow(デイ・アフター・トゥモロー)」「2012」などパニックアドベンチャーを得意とするRoland Emmerich(ローランド・エメリッヒ)監督と仕事を共にしてきました。

 

「The Day After Tomorrow」「2012」は大ヒットとともに評価された作品ですが、この「10,000 BC」は若干こけた感がありますね。(少なくとも日本では・・・)

しかし、音楽に関して言えば「The Day After Tomorrow」「2012」をしのぐ、クローサーのキャリアの中でもクォリティーの高い秀作であると言えるでしょう。

 

 

特徴は、主にレコーディングとミキシングのアプローチによるものと推察されますが、他のサントラ作品群にみられるような大規模民族打楽器群の配置法よりも、更に奥行きと拡がりをつけた立体的なその [ビッグ・パーカッション・サウンド] と、その事によってより壮大さが求められるオーケストレーション(特にブラスセクション)との計算された「空間設計」にあります。

 

 

別項で述べた Harry Gregson-Williams(ハリー・グレッグソン・ウィリアムス)/Kingdom of Heaven(キングダム・オブ・ヘブン)のレコーディングとミックスは Abbey Road StudioAir Studio で行われていますが、この「10,000 BC」も同様にAbbey Road Studio と Air Studio で行われています。

 

Abbey Road Studio では、近年の大作から分かりやすい作品を上げると John Williams(ジョン・ウィリアムズ)の手掛けた「Harry Potter and the Sorcerer's Stone(ハリー・ポッターと賢者の石)」「Harry Potter and the Chamber of Seacrets( ハリー・ポッターと秘密の部屋)」「Harry Potter and the Prisoner of Azkaban(ハリー・ポッターとアズカバンの囚人)」や、Howard Shore(ハワード・ショア)の「The Load of the Rings(ロード・オブ・ザ・リング)」シリーズなどのレコーディング&ミックスが行われていますが、「10,000 BC」を秀作たらしめているのは、この Abbey Road Studio でプロダクションされて、それが良い方向へ向かった事も要因の1つとして大きいでしょう。

 

   

 

 

その音楽性と方向性がマッチいている事を前提として、先に上げた「Kingdom of Heaven」「Harry Potter」シリーズ、「The Load of the Rings」シリーズなど、ハリウッドで音楽プロダクションされたケースとはまた一味違った「深み」と「上品さ」さが醸し出されている気がしてなりません。ハリウッドのものが上品ではないと言う事ではなく、質の異なる「上品さ」があるのです。

 

心地よい少し重めのウェット感、ppp(ピアノピアニシモ)からfff(フォルテフォルテシモ)に至るまでの濃密なサウンド、そしてfffに至ったときの決してギラギラではない自然にリミットされた柔らな臨場感などなど、、、これが歴史の重みという事でしょうか。

もちろん演奏するオーケストラの違いも大きいのですが・・・。

 

 

Harald Kloserに関しては実際情報が多くありません。映画に携わるまでは米国のTVドラマなどを多数手掛けているようです。映画では他に手掛けたものは「Alian VS Predator(エイリアン VS プレデター)」など、いわゆるパニックアクションものを得意としています。

 

彼が中でも異色なのは、作曲家であると共に脚本家そして、映画製作プロデューサーの顔を持ち合わせているところです。この「10,000 BC」ではエメリッヒと共同で脚本、そして製作総指揮にまで名を連ね、次作の「2012」では同じくエメリッヒと共同で脚本、製作と、それはもう大車輪の働きです。

よって他の作曲家たちのように、年に数本のサントラ制作に携わる事は不可能に違いありません。

 

 

少し違った例として、俳優であり映画監督でありプロデューサーであるClint Eastwood(クリント・イーストウッド)の名が上げられます。彼は自身の監督・プロデュースした「Million Dollar Baby(ミリオン・ダラー・ベイビー)」や「Changeling(チェンジリング)」などで音楽を手掛けており、又彼の出演した1980年代のいくつかの映画では演奏家として名を連ねています。

 

 

 

このイーストウッドのように映画監督としてのスタンスで、音楽にも造詣が深いことからそれらも手掛けるというのは想像できる話ですが、作曲家としてのスタンスで映画自体の製作総指揮をやってしまうというのは、容易には想像し難いものがあります。

 

 

クローサー自身、もう自分の中ではスタンスを変えているのかもしれません。

その証拠に、プロデューサーとして名を連ね始めた本作から次作の「2012」でも、それまで音楽制作のスタッフであったThomas Wander(トーマス・ワンダー)の名が作曲家として共同クレジットされるようになったのです。

彼の役割は大きかったに違いありません。

 

 

 

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