Hannibal : Hans Zimmer

ハンニバル  :  ハンス・ジマー

The Ring & The Ring Two : Hans Zimmer, Henning Lohner & Martin Tillman

ザ・リング & ザ・リング 2  :  ハンス・ジマー、ヘニング・ローナー & マーティン・ティルマン

music by Hans Zimmer

additional music : Klaus Badelt

additional arrangements : Jim Dooley, Steve Jablonsky, Geoff Zanelli

ambient designer : Mel Wesson

supervising orchestrator : Bruce Fowler

additional orchestrator : Ladd McIntosh, Yvonne S.Moriarty, Walt Fowler

music editor : Vicki Hiatt, Marc Streitenfeld, Elizabeth Finch

conductor : Gavin Greenaway

score performed by The Lyndhurst Orchestra

orchestra leader : Gavyn Wright

conductor: choir : Rupert Gregson-Williams

boys choir : Libera

music engineer : Kevin Globerman, Jake Jackson, Gregg Silk (Media Ventures)

music recordist : Slamm Andrews

music recordist/score mixer : Alan Meyerson

 

featured cello : Martin Tillman Anthony Pleeth

featured trombone : Bruce Fowler

viola : Bruce White

cello : Jonathan Williams

oboe : Dom Kelly

 

music production supervisor : Gretchen O'Neal

music coordinator: London : Maggie Rodford

choral contractor / musician contractor : Tonia Davall

music by Hans Zimmer & Henning Lohner & Martin Tillman

additional music : Jim Dooley & Trevor Morris

ambient design : Mel Wesson & Clay Duncan & Bert K Hendrickson

score produced by Trevor Morris

score remix : Slamm Andrews, Al Clay, Clay Duncan, Bert K Hendrickson,

              Jorg Huttner & Trevor Morris

remix concept : Martin Tillman

orchestrator : Bruce Fowler

music editor : Dan Pinder & Lise Richardson

 

music recorded at AIR STUDIOS, Lindhurst Hall, London

conductor : Fiachra Trench & Gavin Greenaway

recording engineer/score recordist : Geoff Foster

score mix : Slamm Andrews & Al Clay

score mix assistants : Gregg Silk & Jeff Biggers

Mastered by Bruce Maddocks at Cups N' Strings

 

featured cellist : Martin Tillman & Anthony Pleeth

solo voice : Gina Segall, Diamanda Galás

 

music coordinator : Becky Bentham, Hothouse Music Ltd.

score coordinator : Andrew Zack

orchestra contractor : Isobel Griffiths, LTD.

music preparation : Tony Stanton & Booker White

 

数々のアクション大作において輝かしいキャリアを築いてきたHans Zimmer(ハンス・ジマー)。

 

その「派手に演出されたサウンド」に目を向けられがちなキャリアにおいて、ここに上げる「Hannibal」「The Ring」では彼の違った側面が聴かれ、中でも美しくインテリジェンスを感じさせる作品です。

そしてこの2つの作品が、以降今日までの新たなサスペンスホラー、オカルト映画における音楽的アプローチのトレンドの礎を築いた、もしくは方向性を示したと言っても過言ではありません。

 

 

Christopher Nolan(クリストファー・ノーラン)監督の「The Drak Knight(ダークナイト)」「The Drak Knight Rises(ダークナイト・ライゼス)」は記憶に新しいところです。この作品で音楽を担当したハンス・ジマーに関してノーラン監督は、

 

「昨今のアクション大作映画の予告編で、彼らの仕事を参考にしていないものは見たことがない

 

と言い切っていますが、実際にはアクション大作だけにとどまらず、サスペンスホラー、オカルト映画の音楽的アプローチにも多大な影響を与えていると認識しています。

それは音楽を構築する上での技法的な視点に留まらず、プロデュースの手法やレコーディング、ミックスアプローチなどエンジニアリングの観点、またキャスティングなど、多角的な視点から言えるのかもしれません。

 

 

オーセンティックな手法を軸にしたその古典的芸術要素と、シンセサイジング、アンビエント技法、又高度なミキシング技術などによって現代の手法を巧みにブレンドしているのですが、終止古典的な美観を壊す事なくシンセベースやエレクトリックチェロ、アンビエント音などが織り込まれています。

最近でこそこのジャンルの映画において多く見られるアプローチではありますが、その先駆けとなった作品であり、中でも「バランス感覚」の際立ったものとなっています。

 

 

この「バランス感覚」という意味において、このようなコンセプトにおける音づけで絶妙なバランスを保っているものは数少なく、クラシック色が強ければそれはただ単にクラシック音楽を起用したものと捉えられ、従来のスリラーに見受けられる不協音を軸とした要素の強い組み立てでは、よくあるサスペンスミュージックとして埋没してしまう事でしょう。

 

以後も、ジマーは「The Da Vinci Code(ダヴィンチコード)」「Angels & Demons(天使と悪魔)」などで新たなアプローチを試みていくのです。

 

 

 

 

 

 


さて、ここでこの2つの作品のキーマンとなる人物に関して触れておきたいと思います。

 

この2作品はハンス・ジマーの手による楽曲だけではなく、彼を取り巻く作曲家、演奏家らの手によって作られた楽曲とで出来上がっており、それらがジマーのプロデュース手腕によってまとめあげられています。

 

Hannibal」では、ハンス・ジマーが作曲を手掛けているのは全12曲中5曲であり、他2曲をハンスジマー率いる制作集団”リモートコントロール”(旧:メディアベンチャーズ)の一員であるKlaus Badelt(クラウス・バデルト)、3曲をチェリストであり作曲家でもあるMartin Tillman(マーティン・ティルマン)とリモートコントロールの一員Mel Wesson(メル・ウェッソン)が、1曲をアイルランド出身のクラシック作曲家Patrick Cassidy(パトリック・キャシディ)が手掛けています。(他1曲はバッハのゴルトベルク変奏曲から)

 

The Ring」では、Henning Lohner(ヘニング・ローナー)と前述のMartin Tillmanとの共同クレジットになっています。全曲を3人で仲良く作曲したとは思いませんが、詳しいデータがないので省略させていただきます。

 

 

まずMartin Tillmanですが、シカゴの「21」のレコーディング参加がキャリアのスタート。以後スティングやBECKなどのツアーにチェリストとして参加しているようです。自己名義のアルバムではニューエイジミュージックやクラシッククロスオーバー的なものを全面に出しています。

 

##次の動画の4:10あたりにティルマンが登場しています。

 

 


映画の世界へは、ハンス・ジマーが手掛けた「The Fun(ザ・ファン)」のサントラに参加したのがきっかけだそうですが、以後度々ハンス・ジマーやリモートコントロールのメンバーが手掛けるサントラに参加しています。

前述のKlaus Badeltが、Brian Tyler(ブライアン・タイラー)と共同で手掛けた秀作「Constantine(コンスタンティン)」にチェリストで参加しているのは、この「Hannibal」がきっかけと思われます。

 

今やハンスジマーの一番弟子とも言っていい実力者、Harry Gregson-Williams(ハリー・グレッグソン・ウィリアムス:最近では「ナルニア国物語」など)の手掛けた「Kingdom of Heaven(キングダム・オブ・ヘブン)」や、前述のジマーの手掛けた「The Drak Knight(ダークナイト)」、「Frost×Nixon(フロスト×ニクソン)」「The Da Vinci Code(ダ・ヴィンチ・コード)」などでもチェリストとしてフィーチャーされ重要な役割を担っていくのです。

 

クラシカルなものから民族音楽、ディストーションを利かせたエレクトリックチェロを用いての過激なものまで対応するその柔軟性と、それらの作曲センスを持ち合わせる彼の今後の動向に注目したいですね。

 

 

Mel Wessonは、「Hannibal」では作曲としてクレジットされており、「The Ring」ではAmbient Music Designer(アンビエント・ミュージック・デザイナー)としてクレジットされています。

彼はジマーの作品において主にAmbient Music Designerとしてクレジットされており、「The Drak Knight」「Angels & Demons(天使と悪魔)」「Inception(インセプション)」など多数の作品で重要な役割を果たしています。


どれほど重要かというとジマーの作品ではほとんどの場合、クレジットされる際、作曲、プロデュース、コンダクターに次いで(コンダクターより先の場合も多い)このAmbient Music Designerがクレジットされるのです。

 

 

Ambient Music Designerは、アコースティックな要素の裏に空間的サウンド(主にシンセサイザーによる)を配置させるスペシャリストであり、もちろん空間的サウンドだけで成立させる部分もあるので、映像や曲に与えるその影響は大きく、あまりにその影響が大きい場合には作曲家として共同クレジットされるのでしょう。(#空間的サウンドは音楽専門用語では”Pad(パッド)と一括りされがちだが、音楽でいうPadの役割の域に留まらないので、Ambient Designerというのが相応しい)

 

例えば、ヒッチコックのような時代には音楽表現のすべてをアコースティック楽器でまかなっていましたが、CG技術やカメラの発展に伴う映像表現の多様化によって音楽も、テクノロジーの導入やジャンルの多様化などで映像に応えるべく発展していきます。

このAmbient Designという役割を作曲家自信が負うことも多々ありますが、制作時間の問題から作曲家の負担を減らす為分担するケースや、もしくはAmbient Designの全てを任せるケースがあるのです。

 

ちなみにハンスジマーは相当なシンセ通、というかシンセマニアで、そもそもハリウッドに乗り込んできたときにはシンセサイザー&シーケンスプログラムを駆使して、ハリウッド映画のサウンドトラックの新境地を切り開いたのでした。

 

 

Patrick Cassidyは、クラシック系の作曲家であるとしか認識がないのですが、中でもクワイア系(いわゆるコーラス隊の入った)の作曲を得意としているようです。彼が「Hannibal」のために書き下ろした”Vide Cor Meum”はまさに純クラシック音楽ともいうべき美しい楽曲で、この演奏以外にも多数のクラシック系のアルバムでカヴァーされ演奏されています。

 

 

 

 

又、この”Vide Cor Meum”も含めアルバム全体に渡ってボーイズクワイアがフィーチャーされていますが、これは当時売り出し中だったロンドンを拠点とする”Libera(リベラ)"というクワイアユニット。その後日本でもブレイクしたのはご存知の方も多いでしょう。

 

 

キーマンの最後に「Hannibal」でAdditional Arrangements(アディショナル・アレンジメント)でクレジットされている、Steve Jablonsky(スティーブ・ジャブロンスキー)なる人物を挙げておきましょう。彼はしばらく後、ジマーの許を離れたともリモートコントロールから独立したともされますが、実際のところは分かりません。

 

彼は近年「Transformers(トランスフォーマーズ)」「Transformers : Revenge of the Fallen(トランスフォーマー・リベンジ)」を手掛け大作曲家の仲間入りをしましたが、他に「The Amityville Horror(悪魔の棲む家)」「The Texas Chainsaw Massacre : The Beginning(テキサス・チェーンソー・ビギニング)」「Friday the 13th(13日の金曜日)」「A Nightmare on Elm Street(エルム街の悪夢)」など手掛けており、実はホラーを得意としています。

 

 

ジャブロンスキーのホラー作品を全て聴いたわけではありませんが、最近の「エルム街の悪夢(2010)」を聴くと「Hannibal」と「The Ring」からの影響が色濃く出ています。(「The Ring」ではwould like to thankにクレジットされているだけですが…..)

彼が「Hannibal」の作風に直接影響を与えたわけではないと思いませんが、このプロダクションに時下に関わり、影響を受けた側の人物の一例としては分かりやすいですね。

 

 

 

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